相談を受けた行政相談委員は、八戸市生活相談課の職員と県庁等地元の行政機関などを訪ね歩き、遺体の引取りについて相談したが、うまくいかない。また、申出人が息子の遺体のある択捉島へ行くことについても、「ビザなし交流は、外交ルートの許可が必要で北方領土元居住者に限られている。また、北方領土墓参団は北方領土に墓地のある人に限られ、日本人が個人で行くことは、外交上の理由で日本政府は認めないだろう。また、遺体の腐乱も進み、本人と断定できないものをロシアで引き渡すはずがない」との説明であった。こうしたことから、平成7年6月20日に青森行政監察事務所に処理を依頼した。それから50日近くたった8月7日、事務所の担当者から「8月13日から18日まで北方領土墓参団とともに択捉島に行き、遺体の引取りを行うことでロシア側と話がつきました」と電話が入った。早速申出人に連絡したところ、受話器の向こうで「清作が成仏できます。先生のおかげでありがとうございます」と涙でかすれた声で何度も感謝の言葉を繰り返された。行政相談委員は、「私は、この相談を通じ、委員としての苦しさとそれを数倍上回る大きな喜びと充実感を覚えました。近年、県や市町村でも様々な相談の窓口を設け、体制が充実してきていますが、今回のような国際的な問題になると、地方では、外務省や他の関係機関に連絡したり対策を講じてくれる窓口がありません。総務庁の行政相談の重要性と委員としての責任の重さを認識しました」と感想を述べている。